今回は、前歯の歯並びを気にされていた20代女性の患者様に、マウスピース型矯正装置インビザラインを使用して抜歯矯正を行った1例をご紹介します。治療内容や結果について詳しく解説していきます。
主訴と初診時の状態
・年齢、性別:20代、女性
・主訴:前歯のガタガタを治したい
・不正咬合の種類:重度の叢生(ガタガタ)、左下2先天性欠損
治療の内容と詳細
・治療内容:矯正治療(小臼歯3本抜歯)、インビザライン(マウスピース矯正)
幼少期から気になっていた前歯の歯並びを治したいとの事で治療を行うこととなりました。歯の並ぶスペースを確保するために小臼歯を3本抜歯しインビザラインで全顎的な矯正治療を行いました。
初回のアライナーに加え、計4回の追加アライナーを使用して最終的な位置まで歯を移動させました。治療中は補助装置として顎間ゴムや光加速装置を使用して頂きました。
治療開始前はいくつかの医院でワイヤー矯正でないとこの歯並びは治らないとの診断を受けておりマウスピースで矯正を行うことを悩まれていましたが、結果的にマウスピース矯正で治療を完結することができ、大変喜んで頂きました。
・治療期間:約30ヶ月(追加アライナー4回、合計枚数181枚、交換日数3日~5日)
・来院回数:約20回
・治療費:約100万円(税込)
治療のポイント
一般的にこのような歯列の場合、上下左右の第一小臼歯を合計4本抜歯して治療を行うことが多いですが、この患者様は左下の前歯が先天性の欠損があり歯の本数が少なかったため、左下の犬歯の形態を修正し前歯として使い、左下の第一小臼歯を犬歯の位置で機能させる計画としました。
また、健康な歯よりも寿命が短い失活歯(神経の治療を受けている歯)を整理する目的で右下の第二大臼歯、左上の第二大臼歯を抜歯しました。
歯の全体の移動量が増えることにより、治療の期間も長くなりマウスピース矯正の治療としては難易度も高くなってしまいますが、患者様と相談の上、このような変則的な治療を行いました。患者様が装着時間や装着方法をしっかり守って使用してくださったので、比較的大きな問題もなく終えることができました。
副作用とリスク
・歯の動きに伴い痛みを感じる場合があります。
・マウスピース型の装置をご使用の場合は医師の指示を守って頂く必要があります。
・治療期間は事前の診断によりお伝えさせて頂きますが、歯の移動には個人差があるため事前の説明より治療期間が長引いたり早く治療が終了する場合があります。
・矯正治療終了後は歯が元の位置に戻ろうとする後戻りが生じる場合があります。歯の後戻りを防ぐため保定装置(リテイナー)を必ず使用して頂きます。リテーナーをご使用にならなかった場合、歯の移動については責任を負いかねる場合があります。