お電話でのお問い合わせ

080-882-0220

COLUMN

コラム

(前編)マウスピース矯正のメリット・デメリットを徹底解説|当院の考え

 マウスピース矯正は、透明で目立ちにくく、取り外しが可能な矯正装置として人気の高い治療法です。ですが、「本当に効果があるの?」「デメリットはないの?」と疑問を感じる方も少なくありません。

 本記事では、高知市内で早期からマウスピース矯正を積極的に行なってきたはりまや橋溝渕歯科・矯正歯科クリニックが、実際に感じているマウスピース型矯正装置のメリット・デメリットを一般論をふまえて解説させていただきます。マウスピースで矯正を検討されている患者様やこれから治療に取り組もうと考えている先生に読んでいただければと思います。

 少し長くなってしまったので前編と後編に分けさせて頂きます。

一般的なマウスピース矯正のメリット・デメリット

一般的なマウスピース矯正のメリット・デメリットとしてはこれらのことが言われています。

 一般的なマウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正には、以下のような多くのメリットがあります。

・目立ちにくい

 透明なマウスピースなので、装着していても周囲から気づかれにくいです。接客業や人前に立つお仕事の方でも、見た目を気にせず矯正治療を受けられます。

・取り外し可能

 食事や歯磨きの際に外せるので、普段通りの食生活ができます。また、口腔内の清掃も容易になり、虫歯や歯周病のリスク軽減につながります。

・痛みが少ない

 ワイヤー矯正に比べて圧力が緩やかで、痛みが出にくいです。そのため、痛みが少なく、治療中の不快感を軽減できます。

・清潔を保ちやすい

 磨きやフロスがしやすく、虫歯や歯周病のリスクを抑えられます。

・金属アレルギーの心配がない

 金属を使用しないため、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。

・通院回数が少ない

 1度の来院で複数のマウスピースを受け取れるため、通院の手間が減ります。

一般的なマウスピース矯正のデメリット

 一方で、マウスピース矯正にはデメリットも存在します。

・装着時間の管理が必要

 1日20~22時間の装着が推奨されています。適切な装着時間を守らないと、治療の効果が得られません。

・適応できる症例に限りがある

 軽度から中度の不正咬合の治療には適していますが、複雑な症例や大幅な歯の移動が必要な場合には、ワイヤー矯正の方が適していることがあります。

・効果が出るまで時間がかかる場合がある

 歯の移動速度が緩やかであるため、ワイヤー矯正よりも治療期間が長くなる場合があります。

・紛失や破損のリスク

 取り外しができる反面、紛失や破損のリスクも高くなります。

・装着初期の違和感

 慣れるまでは話しづらかったり、違和感を覚えることがあります。

・費用が高めになりやすい

 マウスピース矯正は材料費や技術料が高いため、従来のワイヤー矯正よりも費用が高額になることがあります。

当院の考えるマウスピース矯正のメリット・デメリット

 ここまでに挙げた内容はあくまでマウスピース矯正の一般論的なメリット・デメリットです。当院のマウスピース矯正(インビザライン)の紹介ページでもわかりやすいのでいくつか抜粋して使わせていただいています。

 ですが、これらのメリット・デメリットは本当でしょうか?

それぞれの項目について、現在の当院の考え(あくまで1医院の感想ですが)を解説していきます。

・目立ちにくい→ワイヤー矯正と比較して目立ちにくい

 マウスピース矯正では個々の歯の動きに応じて歯の表面にアタッチメントと呼ばれる白い樹脂の突起物やゴムをかけるボタン(小さな金属やプラスチック)を設置します。そしてその上から透明なマウスピースを装着して生活して頂きます。確かに周囲から気づかれにくいですが、見る人が見ればわかります。当院でも過去に1名だけアタッチメントがどうしても受け入れられないとのことで治療を中止した方がいらっしゃいます。

 もし全く見えない矯正治療を希望される場合は舌側矯正(歯の裏側のワイヤー矯正)を検討してみるのもいいのではないでしょうか。

・取り外し可能→いつでも外せてしまう

 ワイヤーなどの固定式の矯正装置と違い、マウスピース型矯正装置は取り外すことができます。確かに歯の清掃に関しては絶大なメリットがありますが、マウスピース矯正ではマウスピースを適切に装着していないと歯に矯正力をかけることができず、外している間は常に後戻りをしています。ですので、装着時間を確保できなかったり、適切に装着できない患者様は治療に支障が出る場合があります。

・痛みが少ない→その通り

 筆者はワイヤー矯正とマウスピース矯正の両方を受けたことがありますが、これは本当です。ですが、矯正力をかけている歯や比較的根っこの小さい下の前歯は物を噛んだ時に歯が浮いたような痛みを感じる場合があります。また、新しいマウスピースを装着する時も、歯が締め付けられジーンとした痛みを感じます。ワイヤー矯正の時は調整後しばらくは何も噛めないくらい痛かったので、それと比較すると痛みは少ないです。

・清潔を保ちやすい→概ねその通り

 これも本当です。ワイヤー矯正に比べて食べ物が引っかかる部分が圧倒的に少ないのでお手入れの時間は少なくて済みます。ですが、マウスピース矯正ではIPR(スペース確保のために歯と歯の間に隙間を意図的に作る作業)を積極的に行なったり、歯を順番に動かす事も多いため、歯と歯の間に物が挟まりやすいです。食後のフロスの時間が長くなったり、ウォーターピックを使って頂いたりと、何もしていない状態よりはお手入れの時間が長くかかります。

 また、同じマウスピースを1日中装着しているため、マウスピース本体も使用日数に応じて汚れてしまうため、洗浄してあげる必要があります。

・金属アレルギーの心配がない

 金属を使用しないため、アレルギーの心配がありません。ですが、補助装置として、チタン合金やステンレス製のインプラントアンカーや口蓋に金属製の装置を設置する場合もあるため、治療の制限が生じる場合があります。また、非常に稀で実際に周りで聞いたことはないのですが、マウスピースの材料にアレルギーがある方もいらっしゃるみたいです。

・通院回数が少ない→治療の進行が患者さん本人に委ねられる

 ワイヤー矯正では一般的に1月毎にワイヤーの調整を行うために通院して頂く必要がありますが、マウスピース矯正では、決められた期間毎(一般的に1~2週)にマウスピースを交換していきながら歯を動かしていくため、通院の間隔を長くすることも可能です。1ヶ月~半年、場合によっては渡したマウスピースが終わるまで予約を取らなくていい医院もあり、医院の考え方によってバラツキがあります。

 当院ではマウスピース矯正を始めた当初は1ヶ月毎に通って頂いていましたが、現在は歯のクリーニングに合わせて約3ヶ月に1回、定期的に通われているかかりつけの歯科医院がある場合はそちらでクリーニングをして頂き、お渡ししたマウスピースが終わるまで見せて頂かない場合もあります。

 ですが、通院間隔を空けることによる大きなデメリットが存在します。

・歯の動きのズレを見逃しやすい

 マウスピースは計画通りに装着していても、歯の動きが想定通りに進まない場合があり、通院間隔が長くなると、そのズレに気づくのが遅れ、矯正の効果が低下したり、計画の修正が難しくなることがあります。

・モチベーションの低下

 通院間隔が長くなると、治療の進行状況が確認できず、患者さんのやる気が下がりやすくなります。 また、「本当に治っているのか分からない」「効果を実感できない」といった不安につながることもあります。

・患者さんの負担増加

 マウスピース矯正では、1日20~22時間の装着や適切なタイミングでの交換が必要です。通院間隔が長くなると、それらを長期間自己管理する必要があり、精神的・肉体的な負担に繋がります。

前編まとめ

 本記事では、一般的なマウスピース矯正のメリット・デメリットから、一般的なメリットに関する当院の見解を解説させていただきました。一般的にメリットと言われている中にも裏を返すとリスクが潜んでいました。後編では一般的なデメリットに対する当院の見解・デメリットを最小限にするための取り組みに関して解説していきます。

後編はこちら