今回は、前歯のガタガタを長年気にされていた30代男性の患者さまに対し、インビザライン(マウスピース型矯正装置)を用いて抜歯矯正を行った症例をご紹介します。
初診時には、上下顎ともに重度の叢生が認められました。骨格的な問題は大きくなく、歯の位置や配列を整えることで改善が見込める状態でした。
本症例では、見た目の改善だけでなく、歯周組織への負担や噛み合わせも考慮しながら治療を進めました。
主訴と初診時の状態

患者さまは、ずっと気になっていた前歯のガタガタを治したいことを主訴に来院されました。
初診時には上下顎ともに重度の叢生が認められ、前歯の重なりが強い状態でした。また、右下1番は頬側に位置し、歯根が歯槽骨より外側にあることで、大きな歯肉退縮がみられました。
- 年齢・性別:30代 男性
- 主訴:前歯のガタガタを治したい
- 不正咬合の種類:上下顎重度叢生
- 骨格的所見:大きな骨格的問題なし
- その他初見:右下1の歯肉退縮
治療の内容と詳細
・治療内容:上下左右第一小臼歯抜歯、インビザラインによる抜歯矯正
重度の叢生を改善するため、上下左右第一小臼歯を抜歯し、インビザラインによる矯正治療を行いました。本症例を非抜歯で無理に並べようとすると、歯列と歯槽骨の大きさの不一致により、右下前歯の歯肉退縮がさらに悪化するおそれがありました。さらに、歯の動揺が残ったり、他の歯も歯槽骨の外側に位置して新たな歯肉退縮を引き起こす可能性があるため、抜歯によって適切なスペースを確保したうえで治療を行いました。また、右下前歯の歯根をできるだけ歯槽骨内に誘導することも意識しながら治療を進めました。アライナーは初回に加え、追加アライナーで微調整を行っています。
- 治療期間:約30か月
- 来院回数:約18回
- アライナー枚数:初回64枚、追加22枚・11枚
- 治療費:約105万円(税込)

治療後の状態
治療後は、上下前歯の重なりが改善し、歯列全体が整いました。
見た目が改善しただけでなく、前歯で噛みやすくなったと実感していただきました。
また、術前に大きな歯肉退縮がみられた右下前歯についても、歯根位置に配慮して移動したことで、術前より改善が認められました。
インビザライン治療のポイント
この症例で特に重要だったのは、右下前歯の歯根位置と歯肉退縮への対応です。
術前は、右下1番が頬側に位置し、歯根が歯槽骨より外側にある状態でした。
そのため、単に歯を並べるのではなく、歯根をできるだけ歯槽骨内に入れることを意識して治療を行いました。
結果として、歯列の改善に加え、歯肉退縮の改善も認められました。
なお、追加治療として結合組織移植による根面被覆も提案しましたが、患者さまは現在の状態に満足されており、追加処置は希望されませんでした。
副作用とリスク
- 歯の動きに伴い、痛みを感じる場合があります。
- マウスピース型矯正装置は、装着時間が不足すると予定どおりに歯が動かないことがあります。
- 治療期間には個人差があります。
- 抜歯を伴う矯正治療では、歯の移動に時間を要する場合があります。
- 歯周組織の状態によっては、歯肉退縮が残ることや追加の歯周外科処置が必要になる場合があります。
- 矯正治療後は、後戻りを防ぐため保定装置(リテーナー)の使用が必要です。
まとめ
重度の叢生では、見た目だけでなく、歯根の位置や歯周組織、噛み合わせまで考えた治療計画が重要です。
本症例では、抜歯によってスペースを確保し、インビザラインで歯列を整えることで、前歯のガタガタを改善しました。
また、右下前歯の歯肉退縮に対しても、歯根位置に配慮しながら治療を進めたことで改善がみられました。
。当院では、他院でワイヤー矯正が必要と診断された重度の叢生に対しても、マウスピース型矯正装置で治療を行ってきた実績があります。症例ごとの状態を丁寧に見極めたうえで、適切な治療方法をご提案しています。
前歯のガタガタや重なりでお悩みの方は、お気軽にご相談ください