電話番号 お問い合わせ WEB予約 お問い合わせ 無料相談 お問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

088-882-0220

COLUMN

コラム
食いしばり・歯ぎしりで歯が心配な方へ|咬合力の検査と治療の選び方

食いしばり・歯ぎしりで歯が心配な方へ|咬合力の検査と治療の選び方

「食いしばりで歯が割れないか心配」「セラミックやインプラントに負担がかかっていないか」「朝起きるとエラやこめかみが疲れている」。このような不安をお持ちの方は少なくありません。

強い噛む力は、それだけで病気というわけではありません。しかし、歯の摩耗や亀裂、修復物のトラブル、インプラントへの負担、顎や咀嚼筋の疲労を考えるうえで、見逃せない要素の一つです。

当院では、単に「歯ぎしりをしていますね」と説明するだけではなく、歯や修復物の状態、筋肉の働き、症状、噛み合わせを確認し、必要な方には咬合力検査を行います。そのうえで、ナイトガードや日中の食いしばりへの対応、経過観察、ボツリヌストキシン治療などから、その方に必要な方法を一緒に検討します。

強い噛む力は、数値だけで判断できません

噛む力が強い方でも、歯や顎に問題が起きていない場合があります。一方、検査値が突出していなくても、歯の亀裂、繰り返す修復物の破損、筋肉の痛みなどがみられることもあります。

当院では、次のような情報を組み合わせて評価します。

  • 歯の摩耗、亀裂、破折の有無
  • 詰め物・被せ物・インプラントに生じたトラブル
  • ナイトガードの摩耗や破損
  • 咬筋や側頭筋の張り、圧痛、左右差
  • 朝の顎の疲労感、頭痛、噛みにくさなどの症状
  • 顎関節と噛み合わせの状態
  • 睡眠時・日中の食いしばりや歯ぎしりの状況
  • 咬合力検査の結果

検査値は重要な情報ですが、数値だけで治療を決めることはありません。

当院の咬合力マネジメントの考え方

当院が目指しているのは、噛む力を単純に弱くすることではありません。食事に必要な機能を保ちながら、歯、歯周組織、修復物、インプラント、顎関節、咀嚼筋へ一部の力が集中し続けない状態をつくることです。

歯や修復物に生じる負担は、最大の力の大きさだけでは決まりません。力が加わる方向、接触する位置、持続時間や頻度、残っている歯質、歯周組織やインプラント周囲の状態によっても影響が変わります。そのため、同じ咬合力の数値でも、必要な対応は患者さんごとに異なります。

当院では、まず「どれくらい強いか」だけでなく、「どこに、どのような力が加わり、その結果として何が起きているか」を確認します。そのうえで、次の方法を組み合わせます。

  • 歯や修復物の形、厚み、接触位置、噛み合わせの確認
  • 必要に応じた咬合調整。ただし、数値を下げる目的だけで歯を一律に削ることはしません
  • ナイトガードによる歯・修復物の保護と、摩耗状態の継続確認
  • 日中の食いしばりや上下の歯の接触癖への対応
  • 修復物やインプラントを設計する段階での力の分散
  • 咀嚼筋の負担が大きい方に対するボツリヌストキシン治療
  • 治療後も同じ項目を確認する定期的な再評価

ボツリヌストキシン治療は、このマネジメントの一部です。ナイトガード、補綴設計、生活上の対応などを置き換える治療ではなく、必要な方に組み合わせる選択肢と考えています。

当院の咬合力検査

当院では、口腔機能検査の一環として、また診察上、噛む力がかなり強いと考えられる方に、必要に応じて「口腔機能モニター Oramo-bf(オラモ)」を使用します。

薄いセンサーを噛んでいただき、そのときの最大咬合力を N(ニュートン) で確認する検査です。短時間で測定でき、治療前後の変化を患者さんと共有しやすい利点があります。

咬合力の数値をどう見ればよいのでしょうか

咬合力は、年齢、性別、体格、残っている歯の本数、噛み合わせ、測定条件によって変わります。そのため、すべての方に共通する一つの「正常値」が決まっているわけではありません。当院では、次の区分を患者さんへ説明するための目安として使用します。

最大咬合力当院での説明位置づけ
375 N未満弱い目安口腔機能低下症における咬合力低下の基準。食べにくさや残存歯なども確認します
375〜600 N標準的な目安咬合力低下の基準には該当せず、当院が強い力をより注意して評価する目安より下の範囲です
600 N以上強い目安当院の診療経験から、歯や修復物、筋肉への影響をより注意して確認する院内基準です

375〜600 Nを、すべての方にとって理想的な数値と断定するものではありません。また、600 N以上でも問題が生じていない方がいる一方、それ未満でも歯の亀裂や修復物の破損が起こることがあります。数値は口腔内の状態と合わせて読み取ります。

600 Nは絶対的な治療基準ではありません

当院では、これまでの診療経験から、測定値が600 N以上となった場合を一つの院内目安としています。これは「600 Nを超えたら病気」「必ず治療が必要」という境界ではなく、強い噛む力による問題が起きていないかを、より注意して確認するための目安です。

オラモのメーカー資料では501 N以上が「参考値」と表記されていますが、測定値そのものが不正確という意味ではありません。どこからを「強い咬合力」とするかについて統一された診断基準がないため、当院では歯、筋肉、顎関節、修復物、症状と合わせて判断します。

咬合力検査で分かること・分からないこと

オラモで確認できるのは、検査時に患者さんが発揮した最大咬合力です。治療前後をできるだけ同じ条件で測定することで、その方の中での変化を確認する材料になります。

一方、この検査だけで睡眠中の歯ぎしりの有無、回数、持続時間まで測定することはできません。睡眠時ブラキシズムと日中の食いしばりは分けて考える必要があり、国際的な合意でも、問診、診察、必要に応じた筋電図や睡眠検査など、それぞれ異なる方法で評価する考え方が示されています。

したがって当院では、「600 Nだったから歯ぎしりがある」「数値が下がったから歯ぎしりが治った」とは判断しません。最大咬合力は、歯や修復物に現れた変化、筋肉や顎関節の所見、患者さんが感じている症状と合わせて用います。

当院の診断から治療後評価までの流れ

噛む力の弱い・標準的・強い目安と、当院の咬合力評価・治療の流れ
咬合力の数値は、歯や修復物、筋肉、顎関節の状態と組み合わせて評価します。

図:375 N未満は咬合力低下の基準、375〜600 Nは標準的な説明目安、600 N以上は当院の診療経験に基づく強い力の目安です。図中の症状やトラブルがすべての方に起こるわけではなく、問診、口腔内・筋肉の診察、必要に応じた咬合力測定を組み合わせて評価します。

1. 何に困っているかを確認します

朝の顎の疲れ、筋肉の痛み、歯の欠けや破折、修復物の脱離・破損、ナイトガードの強い摩耗など、患者さんが気になっていることと過去の経過を確認します。睡眠、日中の歯の接触、服薬、生活上の変化についても必要な範囲で伺います。

2. 力の影響が現れている場所を調べます

歯の摩耗・亀裂・動揺、残存歯質、歯周組織、修復物やインプラント、噛み合わせの接触と力の方向を確認します。咬筋・側頭筋の張りや圧痛、左右差、顎関節の状態も診察します。

3. 必要な方は咬合力を測定します

オラモで最大咬合力を測定し、診察所見と照らし合わせます。600 Nは当院の診療経験から設けた院内目安ですが、数値だけで治療の要否は決めません。

4. リスクの受け止め方を決めます

まずナイトガード、日中の接触癖への対応、修復物の設計、必要な咬合調整、経過観察などを検討します。睡眠障害や全身的な要因が疑われる場合は、歯科だけで完結させず、医科での評価をご案内することもあります。

5. 筋肉の力を調整する必要があるかを判断します

歯や修復物のトラブルを繰り返す、筋肉の張りや痛みが強い、ナイトガードだけでは負担を管理しにくいなど、咀嚼筋の強い収縮を調整する意義があると判断した場合に、ボツリヌストキシン治療をご提案します。咬筋浅層・深層・側頭筋の状態を分けて確認し、治療部位と量を決めます。

6. 治療後も同じ視点で再評価します

約2週間後を一つの目安として、症状、筋肉の状態、噛みやすさ、必要に応じた咬合力を再確認します。数値を下げることだけを目標にせず、食事に必要な機能を保ちながら、歯や修復物への負担が管理できているかを確認します。ナイトガードの摩耗や歯・修復物の変化は、その後のメインテナンスでも継続して見ていきます。

ボツリヌストキシン治療を検討する前に

強い噛む力への対応には、ボツリヌストキシン治療以外にも選択肢があります。

  • ナイトガードで歯や修復物への負担を受け止める
  • 日中に上下の歯を接触させ続ける癖を見直す
  • 睡眠、生活習慣、ストレス、服薬等を確認する
  • 歯や修復物、インプラント、歯周組織を定期的に確認する
  • 症状と変化を経過観察する

ナイトガードは歯を守るために大切ですが、筋肉の収縮そのものを直接弱める治療ではありません。歯や装置の破損を繰り返す方、咀嚼筋の強い張りや痛みがある方などでは、他の対応と組み合わせてボツリヌストキシン治療を検討します。

ボツリヌストキシン治療とは

A型ボツリヌストキシンを咀嚼筋へ注射し、筋肉の過剰な収縮を一時的に調整する治療です。当院では小顔にすることを主目的とせず、歯科的な診察と咬合力評価に基づいて行います。

この治療は、歯ぎしりや食いしばりの原因を消すものではありません。睡眠中に歯ぎしりが起こる回数を必ず減らすとも限りません。筋肉が発揮する力を調整し、歯、修復物、インプラント、顎や筋肉への負担を軽くすることを目指します。

治療する筋肉とそれぞれの目的

咬筋浅層(エラ)

噛みしめたときにエラ付近で盛り上がる、表面側の筋肉です。強い噛みしめに大きく関わるため、咬合力や筋の過緊張を調整する中心的な治療部位です。

輪郭に影響しやすい部位でもあるため、筋肉量、左右差、顔貌を確認して注射範囲と量を決めます。

咬筋深層(エラの奥)

エラの奥側にある深い部分です。浅層だけでは対応しにくい筋活動が疑われる場合や、咬合力の変化が十分でない場合に検討します。

浅層の一部だけへ注射を集中させず、外観の変化にも配慮しながら治療部位を分けられることがあります。ただし、深層へ注射すれば頬がこけないと一律に断定できるものではありません。

側頭筋(こめかみ)

こめかみ付近にあり、下顎を持ち上げたり安定させたりする筋肉です。こめかみの張りや圧痛がある場合、側頭筋にも強い活動がみられる場合、咬筋だけでは十分に対応しにくい場合に追加を検討します。

原則として側頭筋だけを治療の中心にするのではなく、咀嚼筋全体の働きを確認して組み合わせます。

治療の流れ

1. 診察と評価

症状、歯と修復物の状態、筋肉、顎関節、噛み合わせを確認します。必要に応じてオラモで最大咬合力を測定します。

2. 治療部位と治療計画の説明

咬筋浅層、咬筋深層、側頭筋のうち、どこを治療するかを説明します。代替となる対応、適応外使用、効果の限界、副作用も確認し、文書で同意をいただきます。

3. 注射

筋肉の位置、左右差、筋肉量を確認して注射します。総合治療でも、毎回すべての筋肉へ同じ量を注射するわけではありません。

4. 治療後の評価

一般に数日から2週間ほどで変化が現れます。当院では約2週間後を一つの目安として、症状、筋肉、噛む力を再評価します。

当院が必要と判断した場合、治療後の状態に応じて追加注射を検討します。注射時期や次回治療の間隔は、全員一律ではありません。

治療費(税込・両側)

治療内容料金内容
咬筋浅層(エラ)のみ33,000円表面側の咬筋を対象
咬筋深層(エラの奥)のみ33,000円深い部分の咬筋を対象
側頭筋(こめかみ)11,000円原則として他部位への追加
総合治療55,000円咬筋浅層・深層・側頭筋を評価し、必要部位を治療
単独治療後の総合範囲への追加22,000円再評価によりエラの奥・側頭筋等への追加が必要な場合
5回コース220,000円総合治療4回分の料金で、継続時の5回目を含む

最初から総合治療を選択した場合、治療後の評価に基づいて総合治療の範囲内で行う追加注射1回は、追加料金をいただきません。原則として初回治療から2〜4週間以内に、当院が必要と判断した場合に行います。

患者さんの希望だけによる美容目的の追加は、この範囲に含みません。

5回コースについて

5回コースは、食いしばりや歯ぎしりを「完治させるコース」ではありません。約3か月ごとを一つの目安に、咬合力、筋活動、歯や修復物の状態を継続して確認し、必要な部位と量を調整する治療計画です。

実施時期は反応を見て決めるため、必ず同じ間隔で注射するものではありません。継続を強制するものでもありません。

途中で中止する場合の精算

このコースは、総合治療4回分を一括でお支払いいただき、継続して治療を受けた場合の5回目をコース料金に含める仕組みです。

途中で中止する場合は、実施済みの治療を1回55,000円として精算し、未実施の有料治療分を返金します。5回目に独立した返金額はありません。

実施回数返金額
0回220,000円
1回165,000円
2回110,000円
3回55,000円
4回以上0円

治療の限界と副作用

ボツリヌストキシン治療は、強い筋収縮を調整する選択肢です。歯ぎしりや食いしばりの原因そのものをなくす治療ではなく、歯の破折、修復物の破損、インプラントのトラブルを完全に防ぐものでもありません。

治療後には、次のような症状が起こることがあります。

  • 注射時の痛み、腫れ、赤み、内出血
  • 一時的な噛みにくさ、噛むときの疲労感
  • 筋力低下が強く出る、または十分な変化が得られない
  • 左右差、頬やこめかみのへこみ、輪郭の変化
  • 笑顔や口元など表情への影響
  • 頭痛、違和感
  • アレルギー反応

まれですが、飲み込みにくさ、話しにくさ、全身の筋力低下、呼吸のしにくさ等が生じることがあります。治療後に強い症状が出た場合は、速やかに当院または医療機関へご連絡ください。

また、咀嚼筋へ繰り返し注射した場合の下顎骨への影響は、現在も研究が続いています。当院では必要性を毎回確認し、漫然と同じ量を注射し続けないことを大切にします。

本治療は、歯ぎしり・食いしばり・咬合力の調整を目的とする場合、国内では承認された効能ではない適応外使用です。使用する製剤の情報、入手経路、国内での承認状況、代替治療、救済制度については、採用製剤を確認したうえで治療前に説明します。

よくある質問

ボツリヌストキシン治療で歯ぎしりは治りますか?

歯ぎしりを起こす仕組みそのものをなくす治療ではありません。筋肉が発揮する力を一時的に調整し、歯や修復物、顎や筋肉への負担を軽くすることを目指します。

600 Nを超えたら治療が必要ですか?

数値だけでは決めません。600 Nは、当院の診療経験から設けた、より注意して評価するための目安です。どの数値から咬合力が強いとするかについて統一された基準はないため、歯の亀裂、修復物の状態、筋症状、ナイトガードの摩耗などを合わせて判断します。

ナイトガードは不要になりますか?

治療後も必要となることがあります。ナイトガードとボツリヌストキシン治療は役割が異なるため、歯や修復物の状態に応じて併用します。

小顔治療と同じものですか?

使用する薬剤や筋肉が共通する場合はありますが、当院では美容目的を中心に治療を決めません。歯、修復物、インプラント、筋肉、症状、咬合力を評価して治療部位と量を決めます。輪郭が変化することはあるため、外観への希望も事前に確認します。

どのくらいの間隔で受けますか?

一般に効果は数か月かけて弱くなります。当院では約3か月を一つの目安としますが、効果、症状、筋肉、咬合力を確認して次回の必要性を判断します。

強い噛む力が気になる方へ

歯が欠けた、被せ物が繰り返し壊れる、ナイトガードの摩耗が強い、朝に顎が疲れているという場合、まず必要なのは「注射をするかどうか」ではなく、何にどの程度の負担がかかっているかを確認することです。

当院では、歯、修復物、インプラント、筋肉、顎関節を診察し、必要に応じて咬合力を数値でも確認します。その結果をもとに、ナイトガードを含めた対応をご説明します。強い噛む力による影響が心配な方はご相談ください。

関連する治療ページ