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永久歯が生えてこない・乳歯が抜けない子どもへ|先天欠損と乳歯の晩期残存で確認すること

永久歯が生えてこない・乳歯が抜けない子どもへ|先天欠損と乳歯の晩期残存で確認すること

「乳歯がいつまでも抜けないけれど、大丈夫ですか?」「永久歯がないと言われた。将来はインプラントが必要ですか?」

先天的に永久歯がないこと(先天欠損)や、乳歯が通常より長く残ること(乳歯の晩期残存)を、当院では単に「歯がない」「乳歯が残っている」という問題として扱いません。

将来の歯並び、噛み合わせ、顔貌、歯肉の形、審美性、補綴治療まで含めた最終的なゴールから逆算して、今どの歯を残し、どのスペースをどう使うかを設計します。

先天欠損が起こりやすい歯

親知らずを除く永久歯の先天欠損では、下顎第二小臼歯、上顎側切歯、上顎第二小臼歯が欠損しやすいことが報告されています。日本人の先天欠損患者を対象にした研究でも、下顎第二小臼歯が最も多く、次いで下顎・上顎の側切歯が多いと報告されています。

そのため、後続永久歯がない下顎第二乳臼歯などは、年齢が上がっても残ることがあります。乳歯が残っていること自体が悪いわけではありません。状態が良ければ、できるだけ長く使うことには大きな意味があります。

乳歯がいつまでも抜けない場合、まず確認すること

乳歯が抜けない理由は、後続永久歯が先天的に存在しない場合だけではありません。永久歯が埋伏している、通常と異なる位置から生えようとしている、萌出が遅れているなどの可能性もあります。

見た目だけで判断せず、レントゲンで永久歯の有無や位置を確認します。永久歯と周囲の歯根との位置関係、埋伏の状態を詳しく把握する必要がある場合は、CTを用いて確認することもあります。特に上顎側切歯の先天欠損では、犬歯の位置異常や埋伏との関連も報告されているため、犬歯がどこにあり、どの方向へ生えてくるのかまで確認します。

乳歯は、できるだけ使い続けることを考えます

後続永久歯がない乳歯でも、状態が良ければすぐに抜歯する必要はありません。当院では、使える乳歯は可能な限り使い続けることを基本に考えます。乳歯が残ることで、骨や歯肉のボリュームを保ちやすく、将来の治療の選択肢を残せることがあります。

一方で、残存乳歯に矯正力がかかると、乳歯が治療に耐えられず、抜歯に至ることがあります。そのため、乳歯を残す場合には、できるだけ矯正力がかからないように計画します。ただし、治療設計上は残せると考えていても、実際に矯正治療を進める中で乳歯が耐えられない場合もあります。

側切歯がない場合、単に歯を寄せればよいわけではありません

上顎側切歯が先天的に欠損している場合、矯正治療で犬歯を側切歯の位置まで移動し、隙間を閉じる方法があります。条件が合えば侵襲を抑えられ、機能的にも優れた選択肢になり得ます。

しかし、「歯がない隙間を矯正で閉じればよい」という考え方だけでは、自然で美しい前歯部はつくれません。犬歯と側切歯は、形、大きさ、色、歯肉の位置、根の形、担う役割が異なります。犬歯を側切歯の位置へ移動すること自体は可能でも、それだけで審美的に美しい前歯部をつくることは難しいと考えています。

犬歯を側切歯として活かす場合も、最終的な歯の幅、形態、色調、歯肉のライン、前歯と犬歯の役割、噛み合わせまで事前に設計します。必要に応じて、犬歯の形態修正や審美修復を組み合わせます。小臼歯抜歯が必要な矯正症例では、犬歯を形態修正して側切歯として活用する方が、顔貌や歯列のバランスに合う場合もあります。

反対に、欠損部位、顔貌、骨格、噛み合わせ、歯肉の形、周囲の歯の状態によっては、乳歯を抜歯して矯正でスペースを閉じる方が適している場合もあります。また、接着性ブリッジ、歯の移植、将来のインプラントや補綴のために、適切なスペースを設計して残す方がよい場合もあります。

上顎側切歯の先天欠損に対する若年期の接着性ブリッジとインプラントの考え方は、上顎側切歯の先天欠損、インプラントが必要と言われた方へ|若い方の治療選択で詳しく解説しています。

将来インプラントは必要ですか?

永久歯がないからといって、必ずしもインプラントが必要になるわけではありません。前歯部や力の負担が比較的小さい部位では、接着性ブリッジで対応できることが多くあります。移植に使える歯がある場合は、歯の移植を検討することもあります。

一方で、犬歯や第一大臼歯など、強い力を受け止める必要がある歯では、インプラントを勧める場合があります。当院では、インプラントを入れることを目的にスペースをつくるのではありません。接着性ブリッジ、歯の移植、インプラント、矯正、審美修復を含めて、顔貌・骨格・歯列・歯肉・噛み合わせに合う最終形を先に考えます。

当院では、矯正と補綴・審美治療を分けて考えません

先天欠損の治療では、矯正だけで終えるのか、補綴治療だけで補うのか、という二択ではありません。当院では、矯正と補綴・審美治療を一つの治療計画として考えます。

最終的に自然な口元をつくるために、歯の位置とスペースを矯正で整え、必要に応じて接着性ブリッジや歯の移植、審美修復を組み合わせます。「歯がないから寄せる」「隙間があるから歯を入れる」という発想ではなく、そのお子さんが成人したときに、自然で機能的な噛み合わせと口元を得られることを目指します。

よくあるご質問

乳歯がいつまでも抜けないけれど、大丈夫ですか?

後続永久歯がない、埋伏している、異所萌出している、萌出が遅れているなどの可能性があります。レントゲンで確認し、必要に応じてCTも用いて位置関係を詳しく調べます。

永久歯がないと言われた。将来インプラントが必要ですか?

必ずしも必要ではありません。部位によっては接着性ブリッジで対応でき、移植できる歯があれば歯の移植も検討します。一方、犬歯や第一大臼歯など強い力を受ける部位では、インプラントを勧める場合があります。

矯正を始めても乳歯は残せますか?

残せる場合もありますが、乳歯に矯正力がかかると抜歯に至ることがあります。治療設計上残せるか、実際に治療へ耐えられるかを見ながら判断します。

乳歯が抜けたら見た目はどうなりますか?

前歯は目立つため、暫間的な仮歯を貼り付けることがあります。奥歯は外れやすく、清掃もしにくいため、原則として同じ方法は行いません。

早めの相談が、将来の選択肢を増やします

先天欠損や乳歯の晩期残存では、今すぐ治療を始めない場合もあります。しかし、早い段階で永久歯の有無や位置、乳歯の状態、将来の歯列を確認することで、選択肢を残しやすくなります。

小児矯正の開始時期や成長期に確認するポイントは、子どもの矯正はいつから?|口呼吸・お口ポカンと顎の発育を早めに確認する理由もあわせてご覧ください。

※診断、適応、治療開始時期、治療期間、治療の結果には個人差があります。CT撮影や他科との連携をご提案する場合があります。

乳歯を残した後も、定期的な確認が必要です

後続永久歯がない乳歯を残す場合も、乳歯の根や虫歯・修復の状態、噛み合わせ、周囲の骨や歯肉は変化します。当院では、残すと決めた乳歯を定期的に確認し、状態が変化した時点で、将来の治療計画を見直します。治療をして終わりではなく、長く使える状態を一緒に守ることを大切にしています。

参考文献

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  2. Endo T, et al. Frequency of missing teeth and reduction of mesiodistal tooth width in Japanese patients with tooth agenesis. Prog Orthod. 2018.
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  4. Kiliaridis S, et al. Treatment options for congenitally missing lateral incisors. Eur J Oral Implantol. 2016.
  5. Jiménez-Silva A, et al. Association Between Maxillary Lateral Incisor Agenesis and Displacement or Impaction of the Permanent Canine: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2024.