インプラント1本の費用を比べるとき、表示された金額だけでは治療全体が見えにくいことがあります。診断、手術、仮歯または治癒期間中の歯ぐきの形づくり、最終的な被せ物、術後の保証まで、どこまで含まれているかを確認することが大切です。
はりまや橋溝渕歯科・矯正歯科クリニックでは、1本の部分治療と片顎・全顎治療を分けてご説明しています。ここでは、1本のインプラント治療にかかる費用と標準治療の内容をまとめます。
まず「その1本だけ」で判断しないこと
歯を失った原因、隣の歯や反対側の歯、噛み合わせ、清掃性、歯ぐきや残っている骨の状態によって、適切な治療計画は変わります。当院ではCTなどによる診断をもとに、お口全体との調和を確認してから治療方法をご提案します。
当院の1本のインプラント治療費(税込)
- インプラント診断料:22,000円
- インプラント1本(手術から最終補綴まで):550,000円
- 標準的な総額:572,000円
手術申込時にお預かりする33,000円は、治療費の一部に充当されるため、別途加算される費用ではありません。
550,000円の標準治療に含まれるもの
- インプラント体、埋入手術、通常の二次手術
- X-Guideまたは静的サージカルガイドを用いたガイド手術
- 抜歯即時埋入(適応症例)
- 即時プロビジョナルまたはカスタムヒーリングアバットメントの作製(症例に応じていずれか)
- 標準的なギャップ部への骨補填、骨補填材を用いないソケットリフト(適応症例)
- 待時埋入時に必要となるAPF
- チタンアバットメント、ジルコニア上部構造
- 印象・口腔内スキャン、ベリフィケーションインデックス、通常の調整
- 院内3年保証(保証条件に基づく)
当院の費用は、単純な安さを目指したものではありません。一方で、診断精度や手術の安全性、歯ぐきの形態、最終補綴の精度に関わる多くの工程を標準治療に含めています。
即時プロビジョナルは、必要な場合に作製します
手術当日に仮歯を装着する「即時プロビジョナル」は、見た目や歯ぐきの形を整えるうえで有効な場合があります。しかし、すべての症例で装着した方がよいわけではなく、力をかけない方がインプラントの治癒に有利な場合もあります。
即時プロビジョナルを作製しない場合は、同じパーツを活用してカスタムヒーリングアバットメントを作製し、歯ぐきの形態を整えます。そのため当院では、どちらを選択しても料金は同じで、症例に適した方法を標準治療として選びます。
骨造成は「多く行うこと」ではなく「必要性を見極めること」
以前は骨のある位置にインプラントを埋入する外科主導の考え方から、歯の形や噛み合わせに合わせて骨を造成する補綴主導の考え方へと治療が発展しました。現在はデジタル上で最終的な歯、噛み合わせ、残存骨、軟組織を同時に確認し、両者の利点を生かして過不足の少ない治療を目指す考え方が重視されています。
当院ではこれをバイオレストラティブな治療計画として捉え、可能な限り患者さんご自身の残存骨を生かしながら、適切な位置にインプラントを配置できる知識と技術を磨いています。GBRやサイナスリフトを一律に否定するものではなく、必要な症例にはご提案しますが、不要な骨造成は極力避けます。
近年、骨補填材の周囲に遅れて炎症が生じる「perigraftitis(ペリグラフタイティス)」が報告されています。ただし、発生頻度や原因、材料との関係はまだ十分に確立していません。こうした知見も踏まえ、適応を慎重に判断することが重要だと考えています。
追加費用となる可能性がある処置(税込)
- 結合組織移植・遊離歯肉移植:同時処置55,000円/別日77,000円/同部位2回目44,000円
- 小範囲GBR:55,000〜77,000円
- 広範囲GBR:110,000〜165,000円
- ソケットリフト:55,000〜77,000円
- ラテラルウィンドウ法:片側220,000円/両側440,000円
- 笑気鎮静:1回の手術につき22,000円
複数歯を連結して治療する場合のポンティックは1歯110,000円です。追加処置が必要かどうかは診断後にご説明し、見積書に明記します。
保証について
標準治療には院内3年保証が含まれます。保証の適用には、定期的なメインテナンスなど所定の条件があります。遠方への転居などに備えたガイドデント保証は、1インプラント22,000円で追加できます。
見積書で確認していただきたいこと
- 診断料とガイド手術が含まれているか
- 仮歯やカスタムヒーリングアバットメントが含まれているか
- アバットメントと最終的な被せ物の材質
- 骨・軟組織への処置が追加になる条件
- 保証期間だけでなく、適用条件
価格だけではなく、治療工程と含まれる項目をそろえて比較することで、ご自身に合う治療を判断しやすくなります。
治療費全体の見方は「インプラント治療の費用は何を含めて考える?」、片顎・全顎治療については「All-on-4・All-on-6の費用と治療工程」もご覧ください。
参考文献
- Pitman J, et al. Complications associated with bone augmentation materials in implant dentistry. 2022.
- Lim G, et al. Wound healing complications following guided bone regeneration. Int J Oral Maxillofac Implants. 2018.
- Do TA, et al. Perigraftitis following bone augmentation procedures: clinical considerations. 2026.
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の適応、治療期間、費用はお口の状態によって異なります。表示価格はすべて税込です。
最終補綴の材料と生物学的な考え方については「なぜ当院ではインプラントの最終補綴にジルコニアを標準採用しているのか」もご覧ください。
条件が合えば、自家歯牙移植も検討できます
1歯を失った部分では、インプラント、ブリッジ、義歯に加え、親知らずなど患者さん自身の歯を利用する自家歯牙移植を検討できる場合があります。ただし、移植に使える歯があり、その歯を傷つけずに抜ける見込みがあること、移植先の骨や歯ぐきと大きさ・形が合うことなどの条件が必要です。
当院では、同じ欠損部について欠損部精密検査・診断料22,000円(税込)で、移植とインプラント双方の適応、方法、期間、費用を比較します。同じ欠損部では診断料を二重に算定しません。
診断料を含む自家歯牙移植の総額は、小臼歯部・セラミック319,000円、小臼歯部・ゴールド352,000円~、大臼歯部・セラミック346,500円、大臼歯部・ゴールド374,000円~です。移植歯レプリカ、必要な抜歯前処置、抜歯、移植手術、固定、通常の術後管理、根管治療、プロビジョナル、最終修復までを含みます。
インプラントより安いかだけで選ぶ治療ではありません。適応条件、治り方の違い、将来の再治療まで含めて比較することが大切です。詳しくは「自家歯牙移植の費用は何を含む?」をご覧ください。