1歯を失ったとき、インプラント以外にブリッジという選択肢があります
1歯を失った場合、代表的な選択肢にはインプラント、ブリッジ、接着ブリッジ、義歯があります。
治療費だけを見ると、それぞれの金額には大きな差があります。しかし、総額が違うのは、単に材料の値段が違うからではありません。
- 隣の歯をどの程度削る必要があるか
- 隣の歯に既にクラウンや大きな修復物が入っているか
- 外科処置を受けられるか、希望するか
- 欠損部の骨・歯肉の状態
- 噛み合わせと歯ぎしり・食いしばり
- ポンティックやインプラント周囲を清掃できるか
- 将来問題が起きたとき、どこまで再治療が必要になるか
こうした条件によって、必要な診断、プロビジョナルレストレーション(治療用の暫間修復物。以下、プロビジョナル)、外科処置、最終補綴の工程が変わるためです。
当院では、ブリッジとインプラントのどちらかが常に優れているとは考えていません。隣在歯の歯質を保存すること、現在の支台歯の状態、患者さんの全身状態と希望、将来の再治療範囲を含めて選択します。
当院のブリッジは、原則として1歯欠損に対する短い設計です
当院では、原則として1歯欠損に対する短いブリッジを対象とし、複数の歯を連結するロングスパンブリッジは原則として行いません。
長いブリッジは、複数の支台歯に負担が加わり、1か所のむし歯・破折・歯周病が広い範囲の再治療につながる可能性があるためです。
複数歯を失っている場合は、インプラント、義歯、欠損を分けた短い補綴設計などを検討します。
通常のセラミックブリッジ
通常の3ユニットブリッジでは、欠損の両隣の歯をクラウン形態に整え、2本の支台歯と1本のポンティックを連結します。
本体料金
| 構成 | 料金(税込) |
|---|---|
| 支台歯クラウン | 132,000円/1歯 |
| セラミックポンティック | 110,000円/1歯 |
1歯欠損の3ユニットでは、支台歯クラウン2本とポンティック1本で、本体料金は374,000円です。
本体料金に含まれる工程
- 支台歯と欠損部の診査・ブリッジ設計
- 支台歯の形成
- プラーク、仮封材・仮着材、試適時の汚染等を除去する接着・装着前の歯面清掃
- 印象採得
- 歯科技工士によるブリッジ製作
- 色調・形態の確認
- 試適
- 材料に応じた接着・装着
- 咬合調整
- 装着後の軽微な調整
標準総額
| 部位 | 本体料金 | 標準工程として加わる費用 | 標準総額(税込) |
|---|---|---|---|
| 前歯部3ユニット | 374,000円 | 前歯部審美診断・プロビジョナル55,000円 | 429,000円 |
| 臼歯部3ユニット | 374,000円 | 臼歯部プロビジョナル33,000円 | 407,000円 |
前歯部の審美診断・プロビジョナルには、診断用ワックスアップ、必要に応じたモックアップ、プロビジョナルによる歯の長さ・形態・発音・清掃性・歯肉形態の確認を含みます。
臼歯部プロビジョナルでは、支台歯の保護、歯の移動防止、咬合面形態、噛み合わせ、ポンティック基底面と歯肉の関係を確認します。
根管治療時にプロビジョナル料金を算定し、そのまま同じ歯で継続使用できる場合は二重に算定しません。
通常ブリッジを検討しやすい場合
- 両隣の歯に既に大きな修復物やクラウンがあり、クラウン治療の適応がある
- インプラント手術を受けられない、または希望しない
- 支台歯の歯周組織と歯根支持が良好
- 短いブリッジで安定した咬合をつくれる
- ポンティック下を清掃できる
健全な両隣在歯を大きく削る必要がある場合は、接着ブリッジやインプラントを先に検討します。
大臼歯・犬歯の欠損では、通常ブリッジを第一選択にしません
当院では、大臼歯または犬歯を失った場合、通常のブリッジを積極的にはお勧めしていません。
大臼歯は強い咬合力を受けるため、ブリッジを支える隣在歯への負担が大きくなります。犬歯は、食べ物を噛む力だけでなく、顎を横へ動かす際の側方力を受けやすい重要な歯です。犬歯欠損をブリッジで補うと、支台歯や連結部へ複雑な力が加わる可能性があります。
そのため当院では、大臼歯・犬歯の1歯欠損では、隣在歯を支台として連結する通常ブリッジより、欠損部を独立して補えるインプラントを原則として先に検討します。これはブリッジでは治療できないという意味ではありません。全身状態、骨・軟組織、外科処置への希望、隣在歯の状態などからインプラントが適さない場合は、ブリッジや義歯を含めて個別に検討します。
片側支持型接着ブリッジ
接着ブリッジは、隣の歯の裏側に接着性支台装置(ウイング)を接着し、欠損部のポンティックを支える方法です。
「歯をまったく削らない治療」ではありません。接着面、材料厚、装着方向、咬合のために必要最小限の形成を行いますが、通常ブリッジより隣在歯を大きく削る量を抑えられる可能性があります。
当院では原則として、前歯部・小臼歯部の1歯欠損に対する片側支持型を採用します。大臼歯欠損は原則として適応外です。
本体料金と含まれる工程
本体料金は253,000円(税込)です。
本体料金には次の工程を含みます。
- 接着ブリッジの適応診断と片側支持型の設計
- 支台歯のエナメル質接着面・動揺・既存修復物・う蝕の評価
- 咬合接触と必要なクリアランスの評価
- 接着性支台装置1歯分とポンティック1歯分
- 必要最小限の支台歯形成
- 光学印象または通常印象
- 歯科技工士による製作
- 色調・形態確認
- 支台歯と修復物内面の清掃・汚染管理
- 材料に応じた接着前処理
- ラバーダム等による防湿下での試適・装着
- 咬合調整
- 装着後の軽微な調整
標準総額
| 部位 | 本体料金 | 標準工程として加わる費用 | 標準総額(税込) |
|---|---|---|---|
| 前歯部 | 253,000円 | 前歯部審美診断・プロビジョナル33,000円 | 286,000円 |
| 小臼歯部 | 253,000円 | 臼歯部プロビジョナル11,000円 | 264,000円 |
前歯部では、2歯分の診断用ワックスアップ、必要に応じたモックアップ、プロビジョナル、審美性、発音、清掃性、歯肉形態の確認を行います。
小臼歯部でも、ポンティック基底面で歯肉を適切に形成・加圧し、清掃可能な形態をつくるため、プロビジョナルを標準工程に含めます。
当院が片側支持型の接着ブリッジを重視する理由
接着ブリッジは「外れやすい治療」という印象を持たれることがあります。しかし、過去の接着ブリッジには両隣の歯へウイングを接着する両側支持型も多く含まれており、現在当院が原則として採用する片側支持型とは設計が異なります。
両側支持型では、左右の支台歯がそれぞれわずかに異なる動きをするため、一方のウイングだけが外れ、患者さんが気づかないまま接着面へ汚染やむし歯が生じる可能性があります。片側支持型は支台歯を1本に絞り、この異なる動きの影響を受けにくくする設計です。
2024年の系統的レビュー・メタ解析では、前歯部のセラミック接着ブリッジについて、片側支持型は両側支持型より合併症が少なく、修復物の失敗率には有意差が認められなかったと報告されています。前歯部ジルコニア接着ブリッジの臨床研究では10年生存率98.2%、成功率92.0%、別の小規模な長期研究では10年・15年生存率95.4%が報告されています。
これらは、適切な症例選択、十分なエナメル質接着面、支台歯形成、材料に合った表面処理、防湿、接着操作、咬合調整を行った結果です。すべての患者さんで同じ結果になることや、脱離・破折・むし歯が起こらないことを保証する数字ではありません。また、長期的な根拠は主に前歯部1歯欠損について蓄積されており、小臼歯部は前歯部ほど臨床データが豊富ではありません。
当院が接着ブリッジを積極的に検討するのは、単に歯を削る量が少ないからではなく、適応を選び、片側支持型を基本とし、接着と咬合の工程を適切に行えば、歯質を大きく失わずに良好な長期経過を期待できる治療だからです。
参考文献:Alqutaibiら(2024)、Kernら(2017)、Kernら(2017)
接着ブリッジの主な適応条件
- 十分なエナメル質接着面を確保できる
- 支台歯に動揺、大きな修復、活動性う蝕等がない
- 咬合干渉を避けられる
- 強いブラキシズム等のリスクを管理できる
- 必要な接着面積と材料のクリアランスを確保できる
- ポンティック周囲を清掃できる
接着ブリッジは大きな切削を抑えられる一方、脱離する可能性があります。脱離時に再接着できる場合もありますが、支台歯や咬合条件が変化すると再製作やインプラント移行を検討します。
前歯部カンチレバーブリッジ
前歯部カンチレバーブリッジは、クラウン適応のある支台歯1本とポンティック1本を連結する方法です。接着性支台装置を使う接着ブリッジとは別の治療です。
標準総額
| 内訳 | 料金(税込) |
|---|---|
| 支台歯クラウン1歯 | 132,000円 |
| ポンティック1歯 | 110,000円 |
| 本体総額 | 242,000円 |
| 前歯部審美診断・プロビジョナル | 33,000円 |
| 標準総額 | 275,000円 |
本体料金には、支台歯形成、印象、技工、色調・形態確認、試適、プラーク・仮着材・唾液等を除去する歯面清掃、修復物内面の清掃と汚染管理、接着・装着、咬合調整、装着後の軽微な調整を含みます。
前歯部審美診断・プロビジョナルでは、支台歯とポンティックの形態、発音、清掃性、歯肉への加圧、前方・側方運動時の接触を確認します。
前歯部1歯欠損で、支台歯にクラウン治療の適応があり、十分な歯根支持と歯周組織を有し、ポンティックへ強い前方・側方力が加わらない限定症例で選択します。
健全な支台歯を大きく形成する必要がある場合は、接着ブリッジまたはインプラントを先に検討します。
ポンティック周囲の歯肉・骨を整える工程
歯を失った部分では、歯肉や骨が陥凹していることがあります。そのままポンティックを入れると、歯が不自然に長く見える、食べ物が入りやすい、発音や清掃性に問題が出る場合があります。
当院では、いきなり外科処置を行うのではなく、次の順序で検討します。
- プロビジョナルのポンティック形態を調整し、歯肉の治癒・形成を確認する
- プロビジョナルだけでは歯肉量が不足する場合、比較的侵襲の少ない結合組織移植術(CTG)を検討する
- 骨性の陥凹が大きく、CTGだけでは改善が難しい1歯欠損部に限り、小規模GBRを併用する
欠損部造成の料金
| 処置 | 料金(税込) | 適用 |
|---|---|---|
| CTG・ブリッジと同時 | 55,000円/1部位 | 当院で新しくブリッジを製作する欠損部 |
| CTG・単独 | 77,000円/1部位 | 主に他院ブリッジのポンティック周囲のリカバリー |
| 小規模GBR併用加算 | 55,000円/1歯欠損部 | CTGだけでは改善困難な骨性陥凹 |
ブリッジ欠損部でGBRのみを単独で行うことは原則としてありません。2歯以上のGBRも標準設定していません。
CTG・GBRはすべての患者さんに必要な処置ではありません。診査、プロビジョナルでの歯肉形成、必要な改善量を確認してから説明します。
他院で装着されたブリッジのCTG単独手術では、既存ブリッジの調整、除去、再製作が必要な場合は別途お見積もりします。
接着ブリッジと欠損部造成の総額例
| 治療内容 | 標準総額(税込) |
|---|---|
| 前歯部接着ブリッジ | 286,000円 |
| 前歯部接着ブリッジ+CTG | 341,000円 |
| 前歯部接着ブリッジ+CTG+小規模GBR | 396,000円 |
| 小臼歯部接着ブリッジ | 264,000円 |
| 小臼歯部接着ブリッジ+CTG | 319,000円 |
| 小臼歯部接着ブリッジ+CTG+小規模GBR | 374,000円 |
この表により、ポンティック本体だけでなく、診断、プロビジョナル、必要な歯肉・骨造成を含めた治療全体の総額を確認できます。
ブリッジとインプラントは、何を基準に比較するのでしょうか
| 比較項目 | ブリッジ | インプラント |
|---|---|---|
| 隣在歯 | 支台歯として形成・接着が必要 | 原則として隣在歯を支台にしない |
| 外科処置 | 通常は不要。欠損部造成が必要な場合あり | インプラント埋入手術が必要 |
| 支台となる組織 | 隣在歯と歯周組織 | 欠損部の骨と軟組織 |
| 清掃 | ポンティック下と支台歯周囲の清掃が必要 | インプラント周囲の清掃が必要 |
| 再治療範囲 | 支台歯の問題が連結部分全体へ影響する場合がある | 欠損部単位で対応できる場合があるが、周囲炎や部品・上部構造の問題がある |
| 主な制約 | 支台歯の歯質・歯周支持、咬合、接着面 | 全身状態、骨・軟組織、外科処置、治癒期間 |
既に両隣在歯がクラウン適応であれば、通常ブリッジは合理的な場合があります。両隣在歯が健全で、十分なエナメル質接着面があれば、接着ブリッジで大きな切削を抑えられる可能性があります。
隣在歯を支台にせず、欠損部を独立して修復したい場合はインプラントが有力です。ただし、外科処置、治癒期間、骨・軟組織への対応が必要です。
初期費用だけでなく、どの歯・組織を治療に使い、将来問題が起きたときにどこまで再治療になるかをご確認ください。
3年間の院内保証
通常ブリッジ、接着ブリッジ、前歯部カンチレバーブリッジには、装着日から3年間の院内保証を設けています。
保証条件は次のとおりです。
- 当院指定の定期メインテナンスを受け、少なくとも6か月に1回は来院している
- 原則として当院が製作または指定したナイトガードを継続使用している
- 指示された口腔衛生管理と使用方法を守っている
通常使用による修復物の破折・脱離は、条件を満たす場合、原則として無償で再装着または再製作します。
新たなむし歯、支台歯・歯根破折、事故・外傷、故意または著しい不注意、保証条件の不履行、他院での処置等は原則として対象外です。
保証は、修復物が永久に使用できることや、治療結果そのものを保証する制度ではありません。
3年以内にインプラントへ移行する場合の補助
ブリッジで治療しても、支台歯の破折や繰り返す脱離によって、同じ設計を維持できなくなる場合があります。
装着後3年以内に所定の状態となり、当院が再接着・再製作よりインプラント治療への移行が適切と判断した場合、同じ欠損部のインプラント治療費から所定額を差し引きます。
| 治療 | 適用条件 | 控除額 |
|---|---|---|
| 接着ブリッジ | 脱離を繰り返す、または支台歯が支台として使用できなくなった | 126,500円 |
| 通常ブリッジ | 支台歯が破折し、従来のブリッジ設計を維持できない | 55,000円 |
| 前歯部カンチレバーブリッジ | 支台歯が破折し、ブリッジを維持できない | 55,000円 |
単回の脱離や、患者さんの希望だけによる変更は対象となりません。
同一欠損部について当院でインプラント治療を行う場合に1回限り適用します。現金での返金、他の保証・割引・移行補助との重複適用は行いません。
診断・プロビジョナル、CTG、GBRの料金は控除対象外です。
治療後早期に当院の適応判断または接着上の問題による不具合と判断した場合は、通常の控除ではなく、本体料金の全額充当を個別に検討します。
見積書では、最終総額と工程をご確認ください
ブリッジとインプラントの費用を比較するときは、本体価格だけでなく、次の項目をご確認ください。
- 診査・診断費が含まれるか
- プロビジョナルと歯肉形成が含まれるか
- 支台歯の根管治療・支台築造が別途必要か
- CTGやGBRが必要になる条件と費用
- 最終補綴物の形成、印象、技工、接着・装着が含まれるか
- 接着・装着前の歯面清掃と修復物内面の汚染管理が含まれるか
- 咬合調整と装着後の確認が含まれるか
- 保証期間だけでなく、メインテナンス・ナイトガード等の条件
- 再治療やインプラント移行時の扱い
当院では、本体料金と関連費用を分けて算出し、患者さんには標準工程を含む最終総額を治療開始前に提示します。
表示している金額はすべて税込です。実際の適応と総額は、支台歯、欠損部の骨・歯肉、咬合、清掃性、必要な追加処置によって異なります。